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みなさん、こんにちは。
本日、神奈川県は雪の予報が出ています。今のところ雨のようですが、普段はバイク移動のため雨は大敵です。しかし、久しぶりの雪に少しワクワクした気持ちもあります。
さて、今回は介護現場における薬について解説していきたいと思います。特に、高齢者は薬が多くなりやすく、副作用や相互作用のリスクが増加し、医療費の負担も大きくなることが問題視されています。そこで、ケアマネジャーと薬剤師の視点から、現場での薬の実態や問題点を赤裸々に綴っていきます。
介護に携わる方、ご家族の介護をしている方、そして要介護のご本人も、ぜひ最後までお読みください。
介護現場でよく使用される薬剤
まず、介護の現場で頻繁に使用される薬剤をカテゴリーごとに見ていきましょう。
1介護現場でよく使用される薬剤
解熱鎮痛薬
カロナール(アセトアミノフェン)は比較的安全な薬で、増量すると鎮痛効果が高まる。ロキソニン(ロキソプロフェン)やボルタレン(ジクロフェナク)などのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は胃に負担がかかるため注意が必要。
効果: 疼痛の緩和、解熱、炎症の抑制
副作用: 胃腸障害、腎機能低下、依存性(※オピオイドの場合)
代表的な薬剤:
アセトアミノフェン(カロナール)
トラマドール(トラマール)
ロキソプロフェン(ロキソニン)
セレコキシブ(セレコックス)
モルヒネ(MSコンチン)
抗リウマチ薬
抗リウマチ薬には、免疫調節薬(DMARDs)や、生物学的製剤(注射薬)がある。
効果: 関節リウマチの進行抑制、炎症の軽減
副作用: 肝障害、骨髄抑制、感染症リスクの増加
代表的な薬剤:
メトトレキサート(リウマトレックス、メトジェクト)
イグラチモド(ケアラム)
トシリズマブ(アクテムラ)
アダリムマブ(ヒュミラ)
精神科系の薬
催眠鎮静薬
催眠鎮静薬には、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系がある。作用時間や強さに応じてさまざまな製剤が販売されている。近年では、睡眠リズムを調整するメラトニン受容体作動薬や、オレキシン受容体拮抗薬も登場している。
効果: 不眠症の改善
副作用: 依存性、ふらつき、記憶障害
代表的な薬剤:
ゾルピデム(マイスリー)
エスゾピクロン(ルネスタ)
トリアゾラム(ハルシオン)
ラメルテオン(ロゼレム)
スボレキサント(ベルソムラ)
抗不安薬
ベンゾジアゼピン系が主流で、作用時間や力価の違いによって多くの種類がある。
効果: 不安の軽減
副作用: 依存性、眠気、筋弛緩
代表的な薬剤:
ロラゼパム(ワイパックス)
アルプラゾラム(ソラナックス)
ブロマゼパム(レキソタン)
エチゾラム(デパス)
タンドスピロン(セディール)
抗精神病薬
統合失調症の治療薬として使用される。定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規薬)があり、新しい薬は比較的副作用が少ない。認知症高齢者のBPSD(行動・心理症状)治療にも用いられる。
効果: 精神病症状の緩和
副作用: 錐体外路症状、過鎮静、体重増加、糖尿病リスク
代表的な薬剤:
リスペリドン(リスパダール)
クエチアピン(セロクエル)
オランザピン(ジプレキサ)
アリピプラゾール(エビリファイ)
抗うつ薬
抗うつ薬は作用機序によってSSRI、SNRI、三環系抗うつ薬などに分類される。うつ病を根本的に治療するわけではなく、脳内のセロトニン濃度を高めることで症状を改善する。
効果: 抑うつ症状の改善
副作用: 吐き気、性機能障害、離脱症状
代表的な薬剤:
フルボキサミン(ルボックス)
セルトラリン(ジェイゾロフト)
デュロキセチン(サインバルタ)
ミルタザピン(リフレックス)
抗てんかん薬
抗てんかん薬には、Naチャネル遮断薬やGABA作動薬があり、脳の異常な興奮を抑制する。
効果: てんかん発作の抑制
副作用: めまい、眠気、肝障害
代表的な薬剤:
バルプロ酸(デパケン)
カルバマゼピン(テグレトール)
レベチラセタム(イーケプラ)
ラモトリギン(ラミクタール)
パーキンソン病治療薬
ドーパミン補充療法やドーパミンアゴニストがあり、近年では持続注射製剤も登場している。
効果: 運動症状の改善
副作用: 幻覚、低血圧、ジスキネジア
代表的な薬剤:
レボドパ(ドパストン、ドパゾール)
レボドパ+カルビドパ(ネオドパストン、メネシット、デュオドーパ)
プラミペキソール(ビ・シフロール、ミラペックス)
ロチゴチン(ニュープロパッチ)
エンタカポン(コムタン)
これらの薬剤はすべてが同じ頻度で処方されているわけではありませんが、特に多く処方されているのは以下の薬です。
降圧剤
下剤
骨粗鬆症治療薬
睡眠薬・抗不安薬
これらの薬剤の中には、経験上、減量が可能なものがあります。次に、その減薬のポイントについて説明します。
減薬のポイント
不要な薬剤を減らすことは、介護現場だけでなく、すべての医療現場で重要です。
1. 服用中の薬を2種類に分ける
まず、現在服用している薬を次の2つのカテゴリーに分類しましょう。
辛い症状を抑える薬(例:便秘薬、鎮痛薬、睡眠薬)
予防のための薬(例:降圧剤、糖尿病治療薬、骨粗鬆症治療薬)
この分類は厳密でなくても構いません。
2. 減薬の進め方
症状を抑える薬(1のカテゴリー)
これらの薬は現時点では必要ですが、体調の改善によって減薬が可能です。
例えば、便秘が改善すれば下剤の服用は不要になり、生活習慣の改善により睡眠薬が不要になることもあります。
予防の薬(2のカテゴリー)
服用の目的が明確であれば、減薬を検討してもよいでしょう。
減薬の際は主治医に相談しながら進めることが重要です。
3. 医師への相談方法
シンプルに自分の考えを伝えましょう。
「薬の数が多いと感じています」
「副作用が気になります」
「今後、薬を減らしていきたいです」
このような思いを汲み取ってくれる医師を主治医にすることをおすすめします。 もし医師が話をあまり聞いてくれない場合は、医師の変更も検討しましょう。曖昧な相談では、うまくいかない可能性が高いです。
4. 薬剤師を活用する
医師に直接相談しづらい場合は、薬剤師を通じて伝えるのも良い方法です。 薬剤師は副作用や飲み合わせのプロフェッショナルなので、適切なアドバイスをしてくれます。
まとめ
健康診断や人間ドックと同様に、服用している薬の見直しも定期的に行うことが重要です。特に介護現場では薬の数が増えがちです。
介護者の視点から、利用者の安全のために、ぜひ減薬のポイントを活かしてください。
では、次回のブログでお会いしましょう!
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