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認知症の薬

執筆者の写真: Teppei IdaTeppei Ida

更新日:2021年8月19日

先日、抗認知症薬のアリセプトを服用した方がよい?という相談を受けました

そこで、アリセプトについて検討したのでご紹介します

アリセプトは、1999年11月にエーザイ株式会社から発売された認知症の薬です

医薬品が発売されるためには、試験(非臨床試験、臨床試験)をして厚生労働省から「承認」を受けなければ発売出来ません。





認知症の薬の場合、臨床試験において「認知機能の評価」と「臨床症状の評価」で有意差がある事を実証しなければなりません。

臨床試験は第Ⅰ相から第Ⅳ相まであります

第Ⅰ相 健康な成人を対象

第Ⅱ相 少数の軽度な患者を対象

第Ⅲ相 実際にその薬を使うであろう患者を対象

第Ⅳ相 市販後調査

第Ⅰ~第Ⅲ相を治験と呼びます

アリセプトの第Ⅲ相臨床試験において、 治験の対象は70歳前後 268症例を対象に24週間、二重盲検試験(薬と偽薬(プラセボ)を比較)を実施

評価はADAS-Jcogという、記憶、視空間認知などを評価項目とした70点満点の評価スケール

この評価において、アリセプトは偽薬(プラセボ)と2.44点開き有意差ありと判定された しかし、70点満点でわずか2.44点の差しかない! この1点は、「今日の曜日がわかるか」、「封筒に宛名がかけるか」といったもの! さらに、この試験開始時にアリセプトとプラセボの間にすでに3.80点、プラセボの方が認知機能が低かった!

メーカーは純粋に確率的な原因と答えています その結果、審査センターはいくつかの注文を付け、アリセプトを承認しました

その結果、アリセプトの添付文書には 「本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の 病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」

つまり、アリセプトは病気の進行を抑えない、という事です

最終的に、服用するかどうかはご本人、ご家族様の意向になります

絶対に服用した方がよい、絶対に服用しない方がよい、とは第三者の私にはいえません

状況を客観的に把握し情報を収集した上で判断する事が重要だと思います

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