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ジェネリック医薬品と先発品の副作用の違いについて




皆様こんにちは。

最近はずいぶんと暖かくなってきて、いよいよ春本番ですね。

先日、Facebookに投稿した「ジェネリック医薬品」に関する動画に、あるコメントをいただきました。その方は、「ジェネリックに変えたら副作用が出てしまった」という体験をシェアしてくれました。

そこで今回は、ジェネリック医薬品と先発品の副作用の違いについて、わかりやすくご紹介したいと思います。

ぜひ、最後までお付き合いください。


 

目次

 

1. ジェネリック医薬品とは

「ジェネリック医薬品」とは、先発医薬品の特許期間が終了した後に販売される、いわば“後出し”の薬です。有効成分は同じで、効能や用法・用量も基本的に同じですが、製造メーカーが異なるため、添加物や製造工程が異なることがあります。

レストランに例えると、食材が同じでも、料理人や使っている調味料が違うという感じです。同じハンバーグステーキでも、お店によって味が異なりますよね(私は味音痴なのであまり違いが分からないのですが……)。

ただし、「ハンバーグを頼んだのにパスタが出てくる」というようなことはありません。基本的な中身は同じということです。

「同じ成分なら効果もまったく同じはず」と思われがちですが、実は**“ほぼ同じ”**と表現するのが正確です。


2. 生物学的同等性試験

ジェネリック医薬品は、先発品と同等の効果があるかを確認する「生物学的同等性試験」に合格する必要があります。この試験では、**血液中の薬の濃度が時間とともにどう変化するか(吸収されるスピードや量)**を調べ、先発品と同等かどうかを確認します。

ただし、AUC(薬が体に吸収された総量)、Tmax(血中濃度が最大になるまでの時間)、Cmax(最大濃度)といった薬効に関わる数値には一定の許容範囲が設けられているため、完全に一致するわけではありません

この“わずかな差”が、効果の感じ方や副作用の出やすさに影響を与えることもあります



図表:ホクナリンテープと後発品ツロブテロールテープの比較



ホクナリンテープ

ツロブテロールテープ

有効成分

ツロブテロール

ツロブテロール

添加物

ポリイソブチレン、ポリブデン、脂環族飽和炭化水素樹脂

スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂、水素添加ロジングリセリンエステル、その他1成分

血中濃度-時間曲線下面積 AUC

40.02 ng•hr/ml

34.56 ng•hr/mL

最高血中濃度 Cmax

1.62 ng/mL

1.66 ng/mL

最高血中濃度到達時間Tmax

14.0 時間

10.8 時間



ツロブテロール「YP」添付文書より引用
ツロブテロール「YP」添付文書より引用

ご覧の通り、ホクナリンテープと後発品のツロブテロールテープでは、添加物(賦形剤)に大きな違いがあります。また、薬の血中濃度の立ち上がりや持続時間にも差が見られます。

このような薬の場合、人によっては効果の違いや副作用の有無を感じることもあるでしょう。


3. 先発メーカーが作る後発品(AG)


左:先発品:オルメテックOD錠20mg 右:AG:オルメサルタンOD錠20mg
左:先発品:オルメテックOD錠20mg 右:AG:オルメサルタンOD錠20mg


「オーソライズド・ジェネリック(AG)」というジェネリック医薬品をご存知でしょうか?これは、先発品のメーカーが自社の子会社を通じて製造する後発品のことを指します。つまり、先発品と同じ工場で、同じ製造工程、成分、添加物を使用して作られているため、先発品とほぼ同じ品質・性能を保持しています。

そのため、先発品と同等の安心感を得られる一方で、価格は抑えられていることから、AGを選ぶ方が増えてきています。また薬剤の見た目もほぼ同じです。(画像)

ただし、私の見解としては、AGは「中古品の焼き増し」とも言える部分があるのではないかとも感じています。つまり、先発品として販売されなくなった商品の製造設備や工程を活用し、名前と価格を変えて再販しているような印象です。先発メーカー側としては、「他社にシェアを奪われるくらいなら自社で出品しよう」という狙いもあると考えています。



4. 2024年10月からの法律変更

2024年10月から、長期収載品(特許切れ先発品)で後発品が存在する場合、先発品を希望した患者は差額を一部負担する制度が始まります。

これは医療費の高騰を抑えるための対策であり、「先発品と後発品に大きな違いはない」という前提のもとに作られています。もし効果や副作用に明確な違いがあるなら、このような制度は導入されないはずです。

ブランド志向が強い日本人にとっては、納得しづらい変更かもしれません

しかし、医療費の財源が我々の税金が原資である以上、適正な運用が望まれます。他人の贅沢に、お金を払いたいですか?





5. ジェネリック医薬品の副作用の出現

「ジェネリックに変えたら副作用が出た」という声には、以下のような要因が考えられます:

  1. 添加物の違いによるアレルギー反応

  2. 吸収速度等薬物動態の違いによる体感の変化

  3. 心理的要因(「変えたから調子が悪くなった気がする」など)


高齢者や多剤併用中の方では、小さな違いが体調に大きく影響することもあります。


1の添加物アレルギーは、私の経験上、比較的多いと感じています。薬を飲んで発疹が出た場合、主成分の副作用という可能性もありますが、添加物が体に合わなかった可能性も否定できません。

薬には「主成分+添加物」が含まれています。主成分の用量は記載されていますが、添加物の用量は明記されていません。


2の薬物動態の違いによる体感変化は、副作用というより薬効の違いとして感じることがあります。例えば不安を抑える薬の効果が遅れ不安症状が助長した、等。もちろん、それに伴って副作用の出方やタイミングが変わることも考えられます。


3の心理的要因は、思い込み(プラセボ・ノセボ効果)が大きく関与します。経験上特に、睡眠薬や下剤で強く感じる方が多いと感じています。

たとえば、睡眠薬の「マイスリー」という商品はジェネリック医薬品では「ゾルピデム」という名前になります。「ゾルピデムって何?マイスリーじゃなきゃ眠れない」といった心理が、効果や副作用に影響を与えることがあります。このような場合は、先発品を使う方が安心かもしれません

薬剤師としては、患者さんの薬に対する感じ方や不安にしっかり耳を傾けることが大切だと感じています。


6. まとめ



個人的には、副作用が増加する、ということは心理的要因が多いように感じます。ジェネリック医薬品は、医療の持続可能性を支える大切な選択肢です。しかし、どんな薬でも副作用のリスクはゼロではなく、個人差によって「合う・合わない」があります。

また、そもそも*その薬が必要なのか?*という視点も、変更のタイミングでぜひ考えてみてください。薬を長く飲み続けるということは、体が常に薬物にさらされ続ける事を意味し、副作用リスクも高まります。

少しでも疑問や不安があれば、ぜひかかりつけの薬剤師にご相談ください。

では、また次回のブログでお会いしましょう!

 
 
 

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